「福田村事件」勇気と正義

1923年9月1日に発生した関東大震災は、死者・行方不明者は推定10万5000人とされています。
混乱の中で、「朝鮮人や共産主義者が井戸に毒を入れた」などのデマが流され、虐殺された総数は6千人を超えるという調査もあります。無政府主義者大杉栄夫妻と6歳の甥が憲兵大尉によって殺され遺体を井戸に遺棄される甘粕事件まで起きました。

福田村事件は、千葉県福田村で、香川県からの薬の行商団が聞きなれない讃岐弁を使っていたため朝鮮人ではないかと疑われ、自警団等約200人が、棒や、棒の先に金属をつけたとび口などで襲撃。15名中、2歳・4歳・6歳の子どもや妊婦を含む9名が殺害された事件。遺体は川に流され、遺骨も残っていません。
映画「福田村事件」の森達也監督は、しんぶん赤旗のインタビューに、「日本では、戦争や差別の加害者としての側面は、ほとんど劇映画になっていません」と述べています。
この映画は、札幌市内の映画館で10月6日まで上映され、私も見ました。

武器を手に、襲いかかろうとする殺気立った集団に、行商団長が進み出て行き、放った言葉は、〝殺さないでくれ〟ではなく、〝俺たちは日本人だ〟でもなく、「朝鮮人なら殺してええんかっ!」でした。
この勇気と正義に深い感銘を受けました。
このような覚悟をもって、生きていかなくてはならないと思っています。

一方、松野官房長官が、関東大震災当時の朝鮮人虐殺について「記録が見当たらない」などとしたことは断じて許されません。

映画の公式サイト https://www.fukudamura1923.jp/

(東区民報 2023年10月08日付)