すべての地域に文化のあかりを

北海道内に映画館は二十館しかなく、札幌市を除くと十二自治体に十五館で、市以外では浦河町だけです。
全道百七十九市町村ありますから、気軽に映画館で映画を見られる道民はきわめて限られていることになります。

インターネットを通じて配信を受けて、自宅のテレビで映画を見られるのは確かに便利です。途中で停止させて、トイレに行くこともできますし、電話に出ることもできます。しかし、映画館に足を運び、暗い館内で視界は大きなスクリーンに占められ、固唾をのんで没入できるのは特別な時間です。
また、書店のない市町村が道内に七十か所以上あります。通信販売を利用している方も多いと思いますが、書店で陳列しているものを眺めるだけで時間を忘れますし、実際に本に触れ開いてみて選ぶのも楽しいものです。

電子書籍が、紙を使わないことで森林を保護し、トラック輸送等による二酸化炭素排出がないことは意義がありますが、紙の手触りや、雑誌に大きく印刷された写真を見ることは心をなごませ、それぞれの良さがあると思います。

道内に公立高校がない市町村は五十か所以上にのぼります。十五歳で、遠距離通学を余儀なくされたり、まちから出て行く若者が多くいるのです。
一方、音威子府村は村立高校を守り、村の誇りになっています。人口八百数十人のうち百二十人が高校生です。

映画館も書店も高校も、豊かなまちをつくる要素です。文化のあかりを消さず、発展させるには、行政の支援が必要です。