日本共産党の宮川潤北海道議は9月28日、北海道議会一般質問で安倍元首相の「国葬」国葬に鈴木直道知事が公務として参加した問題について、公務と判断した法的根拠をただしました。
岸田首相は国葬を「弔意と敬意を国全体としてあらわす儀式」としていますが、宮川氏は「国民全体に弔意を求めることは、憲法19条「内心の自由」の侵害にあたり、安倍元首相を国葬の対象とするのは第14条「法の下の平等」から問題だ」と指摘。鈴木知事の憲法上の問題認識を質しました。
鈴木知事は「憲法解釈等は国において説明すべきもの」と答弁し、自らの見解を示しませんでした。宮川氏は「(国葬出席は)公務であり、公費で参加したとする以上、憲法上問題があるかないかは出席した知事自身が説明責任を負っている」と、鈴木知事の姿勢を強く批判しました。
宮川氏は「国葬出席を公務とした法的根拠は何か」「道条例において儀礼的儀式に参加する根拠は規定されているのか」と質問しました。
道条例には儀礼的儀式に参加する根拠規定はありませんが、鈴木知事は質問には答えず、「国の儀式として決定した国葬儀への正式な案内があったことから、個別の条例ではなく、地方自治法に基づく自治事務として公務で参列した」と答弁しました。
地方自治体の事務は、「法律・政令により処理する事務(法定受託事務)」と「地域における事務(自治事務)」に大別されます。自治事務の例として「都市計画の決定」「飲食店営業の許可」「病院・薬局の開設許可」等があります。
地方自治体首長が行う自治事務には幅広い裁量権が認められていますが、全てが認められるものではありません。「最高裁調査官解説」(裁判官である調査官による最高裁判決の解説)では、「住民福祉の増進を目的とすると客観的に見ることができなければ、「地域における事務」には当たるとすることはできないと言うべき」と指摘されています。
宮川氏が「最高裁調査官解説」を引用し「安倍元首相の葬儀に参列することが、どうして道民福祉の増進に資することになりますか」と迫ると、それまで自民党席から飛び交っていたヤジが一瞬で静まり返りました。
鈴木知事は、自ら公務として国葬に出席すると宣言しながら、その根拠説明を行うことは拒否しました。自分の都合に合わせて法解釈までも強引に変える鈴木知事の姿勢は、安倍政権の集団的自衛権をめぐる憲法解釈を勝手に変えた姿勢と瓜二つです。
宮川氏は特別発言で「(国葬出席が)住民福祉の向上に資するという説明はされていない」と指摘。「地方自治法の解釈の濫用だ」と、知事の姿勢を強く批判し、「日本は法治国家であり、国葬に出席した知事が法的根拠を明確にできないことは重大な問題だ」と強調しました。