道教委 高校統廃合すすめてきた「4学級基準」を廃止:教育関係者と日本共産党の運動実る

北海道教育委員会は「これからの高校づくりに関する指針」の改定素案(以下、新指針)を、2022年9月12日の道議会文教委員会に報告しました。
現行の指針では、「望ましい学校規模(適正規模)」を「1学年4~8学級」とし、高校生の減少により3学級以下になると「近隣校との再編」を方針として、高校統廃合を進めてきましたが、新指針ではこの記述を削除。機械的な統廃合の考え方は見直されることになりました。
全日制の道立高校は、この20年間で、240校から188校へと52校減少し、そのうち22校は市町村で唯一の高校でした。
統廃合は、遠距離通学の負担だけでなく、地域全体の重大問題となってきました。

北海道高等学校教職員組合連合会の道端剛樹(どうば・たけき)書記次長は「道教委は、3間口以下は不適正だと学校統廃合を加速させてきました。一方、『地元の高校を守れ』という声が各地の首長からも上がっています」と統廃合に反対する声が強いことを述べています。
道教委も「高校の存在が町の活性化や経済に与える影響は大きいという声がある」ことを認めています。

日本共産党の宮川潤道議会議員は、4月5日の文教委員会で、「『望ましい学校規模』は、県によってまちまちであり、設定していない県も3割ある。道立高校の過半数が3学級以下となっており、『4~8学級が望ましい規模』はすでに破たんしている。人口減少はこれからも続くため、4~8学級を維持する考え方を固定化せず地域に必要とされる高校を存続させる意義を尊重すべきではないか。人口減少を踏まえた学校規模は新たな検討が必要ではないか」と質問しました。

岡内誠道立学校配置・制度担当課長は「生徒自らが地域社会の一員として…地域を理解し、愛着を持つことにより、地域の将来を担おうとする意欲と態度と育む」と答え、唐川智幸学校教育監は、「現行の『指針』について、地域から意見を伺いながら見直しをする」と答弁しました。
そして、9月12日の文教委員会での宮川氏の質問に対して、岡内課長は、「(新指針では)望ましい学校規模について明示しない」と、統廃合基準を廃止することを答弁しました。

道端氏は「教育全国署名で市民と協働をすすめ、道教委と交渉をしてきました。統廃合を説明する検討協議会でも意見を述べ、教育キャラバンを通して自治体と意見交換してきました」と長年の運動が実を結んだことを確信にしています。
しかし、人口減少が続く中、高校統廃合がなくなるわけではありません。「4学級以上」という一律の基準はなくなりましたが、道教委の新指針素案は「一定の学校規模を求める考え方は変わらない」という記述もあり、「一律の学校規模を目指すのではなく」ともされており、混乱ぶりを感じさせます。

今後は、高校生、中学生、保護者、教育関係者をはじめとした地元関係者と道教委が、子どもの利益を最善にした丁寧な話し合いが求められます。