65歳になった私は、自動車教習所に通い、小型自動二輪免許を取得しました。
10代の頃50ccの原付には乗っていましたが、もう少し大きなバイクに乗りたいという夢をずっと持っていました。しかし、実現も挑戦もせず、高齢期を迎えました。突然、「今挑戦しなければ、一生自動二輪には乗れない」と思いたち、教習所に申し込みました。
二輪免許取得には、一本橋(幅30センチメートル、長さ15メートル、高さ5センチメートル)、S字(左右連続カーブの細い道)、クランク(直角に左折右折する細い道)などの難関を越えなければなりません。
私は一本橋がまったくダメで、何度練習しても、すぐに橋から落ちてしまいます。成功率は10%台だったと思います。卒業検定で橋の途中で落ちると、その時点で検定中止、不合格となります。
それでも、教官は卒業検定を受けさせてくれました。
ついに、本番。私は練習よりも大きくアクセルをひねり、高回転するエンジン音を聞きながら、なお強く加速し、勢いよく橋の段差を上がるとバイクが私の体を突き上げました。速度を保ち中央付近まで進み「バランスを崩さず、このまま!」祈ると、橋を渡り切っていました。なんと私は一発合格してしまいました!
卒業検定の前の夜は、あまり眠れませんでした。受かった日の夜はもっと眠れませんでした。
新たな挑戦は、私に緊張と不安、希望に向かって進む楽しさ、実現できた喜びを与えてくれました。
目標を持つことが、やりとげる大きな喜びへの第一歩です。たとえ困難な道でも、進む意思をもち続けることこそ幸せです。