手のひらのぬくもりに救われた検査

健康診断で毎年胃カメラ検査を受けています。
むせ返り、涙目になり、カメラをくわえているため途中でやめてくれとも言えず、「みんな同じ苦しさに耐えているのだ」と思っていました。

ある年の検査が終わった時に、内視鏡室の職員の方が「胃カメラ苦手なんですね」と言いました。思いやりの言葉だったはずです。
しかし、私は「自分は胃カメラが苦手なんだ」ということに気がついてしまいました。・・・他の人は私ほど苦しんでいないのだ。自分だけつらいとか苦しいなどと言うのは大人げないと思ってきたが、我慢して損をした・・・と思いました。
その後の健康診断でも苦しさをこらえていたのですが、見かねたのでしょう、職員の方が検査が終わるまで私の肩に手を乗せてくれました。

手のひらには人を癒やす特別な力があるのでしょう。だから、痛いところに手をあてたり、子どもの頭をなでるのかもしれません。
苦しさよりも、その手のひらのぬくもりに救われたことが心に残っています。
さらに、その後検査の時には、医師が一人でやっていました。機器や技術が進んだからでしょうが、さぞ大変だと思います。

医療や福祉は、私たちが生きていく大前提となるものですから、国が、質の高いものをすべての地域で受けられるようにしなければなりません。

今、光熱費や食材費などの経費が増えていますが、国が決めただけしか収入のない仕組みとなっています。「(コロナ)補助金がなければ、7割の病院が赤字になる」といいます。
診療報酬の大幅引き上げと医療、福祉の予算増は最優先課題です。

(東区民報 2024年2月11日付)