生命尊重を考える講演会

9月、札幌市内で、「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」を設置する熊本の慈恵病院蓮田健院長の講演が行われました。

「赤ちゃんポスト」に対して、「安易な育児放棄を助長する」などの誤解がありますが、蓮田氏は、「安易に来た人など一人もいない。私が現実に目の当たりにしたのは、『赤ちゃんと一緒に死ぬつもりだった』など、孤立し、行き場を失い、必死の思いでたどり着いた女性たちだ」と明らかにしました。
受講者が立場や年代を超えて、この問題を受け止め、考えるものとなりました。

感想の一部(要約)をご紹介いたします。

【十代高校生】赤ちゃんポストに預けたときに、母親を暖かく迎え入れていて感動しました。責めるのではなく受け入れるということは人と関わるうえで大切にしたいと思いました。
【二十代公務員】育児放棄などの背景には育った環境、特に親との関係性が少なからずあると感じました。自分が知りえない事情が当事者にはあるのだと一度立ち止まることが大事なのだと思いました。
【三十代自営業】赤ちゃんを犠牲にしない。お母さんを犯罪者にしない。
【七十代以上】十六年前に「赤ちゃんポスト」という言葉が報道された時は、「子を捨てる、ポストに入れる」という印象でしたが、今はまったく内容が違うのだという意識に変わりました。

困難な状況の人を支える気持ちに共感します。
苦しさを発信することもできずにいる人がいることに気づき、手を伸ばせば届くかもしれません。行政や専門機関につないで、支援を引き出せることもあるでしょう。
こちらのものの見方や構えが定まることが希望 につながります。

(東区民報 2023年11月26日付)