「病院をとるか、鉄道をとるか」苦悩するまち – 留萌市を訪ねて

私は、先日、JR路線の存続問題に関する調査で留萌市を訪ねました。
留萌市はニシン漁で栄え、明治期には5万トンを超える水揚げがあったこともありますが、近年は数十トン程度です。炭鉱も閉山し、4万人を超えていた人口も、現在は、2万2千人と約半分に減っていますが、日本海側の道北では中心となるまちです。

JR北海道は、留萌本線の留萌から増毛までをすでに廃止し、さらに深川から留萌までを廃止しようとしています。

この問題で中西俊司留萌市長と懇談しました。中西市長は「沿線の他の自治体とも協議していきたい。しかし、市立病院(入院354床)の維持にも苦労している。路線存続のために重い負担を強いられることになるのであれば、病院をとるか、鉄道をとるかという壁にぶつかる」と苦しい胸の内を明かしてくれました。

私は「絶対に鉄道を無くすことはできません」という言葉を期待していたので、一瞬、肩透かしを食らったような感じがしました。

しかし、病院も鉄道も必要だから、残したいというのが本音なのです。ニシン漁と炭鉱で栄えていた町の経済は、昔と違います。住民に必要なものを守っていくことと、新たな負担に耐えることの板挟みにあっているのです。
こういう町と住民を守るために、国と北海道の役割は重大です。私は、この立場で、道議会の論戦に向かいます。

「留萌本線キハ54系」 photo by 中村昌寛 様